2020.8.1. ----2ページ目-----     PAGE 1 2 3 4 5 6 7

<<< REPAIRページ(修理記事一覧)へ戻る

 

インレイもそうですが、デザインがいちばん大切です。デザインどおり、設計図どおりに出来上がれば何も問題はないですから。

スケールについて考察してみます。
今まであまり深く意識した事がないのですが、Gibsonスケールというと「628.65mm/24.75"」で公式ページにも記述があります。ところが実際に私が日々の修理作業で見かける多くは624mm弱。例えば全体調整などでレスポールのオクターブ調整をする時など、まず始めに必ず「ナットから12F」までの長さを測りますが、その多くは312mmです(つまり倍の624mm)。

因みに↓↓このフレット溝切りテンプレートはLMI製。もう随分昔に購入したが、これは625.4mm。

 

ステュMacのGibsonスケールを謳っている指板はどうだろう・・・・・実寸で約311.7〜8mmだろうか。つまり623.4〜623.6mmだ。

  

ペーパーカタログの表記には24と3/4"(628.65mm)、24.562"(623.87mm)と書いてあった。

おい!どっちだよ。・・・・と思ったら、ウェブのほうにはちゃんと書いてありました「実際には24.562"」だよって。
以下に説明文の翻訳を載せておきます(グー○ル翻訳の丸写し)。ようは世間一般的に628mmって言われているけど、実際には624mm弱(623.87mm)だよって事かね。

 

24.562 "スケール•12"半径•24スロット
注:Gibson®ギタースケールは一般に24-3 / 4 "と呼ばれますが、実際には24.562"です。

これは、Gibsonが長年にわたって24-3 / 4 "と説明した3つの異なるスケールの中で最も一般的です。多くのGibsonには別のスケール長があります。注文する前にギターを測定してください!

ヒント:20フレットのネックの場合は、4つの一番上のスロットを切り取ります。

長年にわたるGibson®24-3 / 4 "スケールの変更
ギブソン24-3 / 4インチスケールは、最も一般的で、すべてのスケールの長さで最も混乱しているものの1つです。これは、めったに24-3 / 4インチと測定されることはめったにないためです。このスケールは、過去50年間で徐々に変化しています。生産設備の変更により、約数年。

 

音階長と音階長への影響についての詳細をご覧ください。

キルン乾燥した指板の下面は平らで、フレットが付いておらず(インレーはありません)、さまざまなネックの幅に合わせてトリミングできます。

おおよその寸法:2-3 / 8 "x 18-1 / 2" x 15/64 "(60.32mm x 469.90mm x 5.95mm)
スケール:24.562インチ(623.87 mm)
半径:12インチ(304.80 mm)
フレットスロット:24スロット、幅0.023インチ(0.58 mm)。フレットワイヤーを受け入れる準備ができています。
重要:
黒檀は通常均一に黒ではありません。黒の指板ステインは、Gibson®、Paul ReedSmith®、およびその他のメーカーで、黒檀の指板、ブリッジ、およびペグヘッドオーバーレイの縞を暗くするために使用されます。

とまあこんな感じで、普段からナット〜12F間の距離を測っていてもけっこうメーカーによって違いがあります。一般ユーザーは自分のギターは何ミリだ、なんて知っている人はほとんどいませんよね。

 


 

スケールの計算方法は学生の時に習いましたがキーワードは「17.817」

例えば、624.0mmスケールのフレット位置を割り出したい時は、624÷17.817=35.022

この「35.022mm」がナット〜1Fの距離

続いて2Fの位置を割り出すには・・・・624−35.022=588.978

588.978÷17.817=33.057

この「33.057mm」が1F〜2Fまでの距離

続いて3Fの位置を割り出すには・・・・588.978−33.057=555.921

555.921÷17.817=31.201

この「31.201mm」が2F〜3Fまでの距離

繰り返し・・・・・必要とするフレットまで計算。
*実際に指板へフレット溝位置を罫書く時は、各フレット間の距離を足していき(例えば)ナット〜3Fまでの距離(99.280mm)をステンレス定規などを使い罫書きます。誤差は0.5mm以下の精度で合っていれば音程には影響ないレベルでしょう。

学生の頃はこの面倒な計算をチマチマ行っていましたが、今では「ギター フレット 計算」などで検索すると、スケールを入力すれば自動的に計算してくれるサイトが沢山あります。その中でも「CRANE」というホームページは私が昔から参考にしていたサイトです。

 


 

マーチンの「ヘッドの形状」が、古い年代の角が丸いのは、機械によって削り出される際に使われる「テンプレートの摩耗」だと言うのは有名な話し。フレットスケールも1954年当時は628mmだったのが、時が経つにつれて徐々に短くなってきたというのかな?でもナット〜1F間の距離だけ短くなってきたならそれはそれで厄介だ・・・・・バズ・フェイトンと同様の結果に・・・・・

このへんでやめておこう。

 

 

 

前ページで計測したオリジナルのネック寸法をもとに、新しく製作するネックの製図をイラレ上で作成します。
最終的に何ミリのスケールにしたかというと・・・・・

625.4mm(24.62")に決定

冒頭で紹介したLMI製のフレット溝切りテンプレートと同じです。なぜかって?今までも何度となく使ってきたこのテンプレートを使う予定でしたし、お客様にもいちおう確認をして了承を得ましたので。

さて、フレット溝切りは必ず手作業で1溝1溝ずつカットしていくしか方法がなかったわけですが↑↑これはステュMac製の治具。

2年前に導入したレーザー加工機を使わない手はないなと考え、あらたな試みでフレット溝切り、ネック製作におけるルーターのテンプレート作りにチャレンジしました!(レーザー加工機でフレット溝を掘る事に)


まずは先にご紹介したCRANEのサイトで625.4mmスケールと入力し、計算結果を出します。

左記のとおり、ナットから各フレットまでの距離が分かりますので、小数点以下3桁までを参考に、イラストレーターの「オブジェクト→変形→移動」コマンドでコピーしていきます。
*2桁まででも十分ですが・・・いちおうね、一応。

こんな感じで↑↑今回必要とする15フレットまでを入力します。次にネックポケットの大きさを元にネックエンド部の幅を決定し、ナット部の幅も決定し、それを直線でつなぎ合わせ、エンドをちょちょっとツバ出し仕様にすれば・・・・・新ネック・指板の正確な大きさが描けます。
*お客様のご希望で15Fまで、つまりジョイント部までしかフレットは打たないという要望です。

 

 

ナットの厚みや、ヘッドの形状なども作成して指板(ネック)と合体させます。

学生の時にオリジナルのギターやベースを製作する際はトレーシングペーパーなどで手書き製図をしてましたが、イラストレーターなどで製図する時のメリットは自由にパーツなどを移動さす事ができます。またミリ単位以下で正確にパーツ位置を決定できるところですね。

因みに、今回のようにアコギですとブリッジサドルの位置は固定されています(エレキのようにオクターブ前後調整できない)。なので下記のように「"実際の"1弦サドル頂点位置」から約1.0〜1.5mm手前をスケールラインとして、312.7mm(625.4mmの半分/12F位置)のところに「今回製図したフレット溝の12F」を位置するようにします。

「1.0〜1.5mm手前をスケールライン」というのは、1弦のオクターブ合わせ時に実際のスケールから約1.0〜1.5mm後方へずらしたところが1弦のサドル頂点位置になるためです。弦の太さや弦高によっても変わりますが、経験上エレキであれば約1.0mm、アコギなどは約1.5mmでしょうか。

 

 

最後にヘッドの形状をデザインする時のご説明・・・・

まずナットの形を描きます。ナット幅もお客様から指定されているのでその寸法どおりに。次に弦間隔と1弦&6弦位置を決定します。大抵は、1弦は端から約2.5〜3.0mm、6弦は端から約3.0〜3.5mmに位置させますが、ここもお客様のプレイスタイルにより強いご希望が!

親指で6弦を押さえるスタイルなので、6弦は指板端に寄せてほしいとの事。ですので、6弦は意図的に端に寄せました。
弦間隔は7.5mmです(弦の中心〜中心)。

弦はペグまで一直線にしてほしいとの事なので↑↑ナットでの弦位置が決まったら弦を上方へ伸ばしていきます。ペグポストの外周を弦に合わせます。ヘッドの形状は可能なかぎり小さくという要望なので、実際に取り付けるペグ(スパーゼル)を参考に、1、2、3、4、5、6、とそれぞれのペグの間隔を決めます。一直線上にという制約があるためペグ位置は基本的に左右方向へは動かせません。

上の画像で「赤線」は、ペグのノブ(つまみ)に干渉せず、なおかつ適正な距離、です。この距離が短すぎてもペグ穴とヘッド端が近づきすぎるので、強度が心配です。今回の場合は14mmとしました。取り付けるペグによりここの数値は変化。
最後にヘッド形状をアレコレとデザインしていくのですが、「弦からポストまで真っ直ぐに」という場合、この「赤線」から大きくズレる事はできません。ここである程度の制約ができてしまうからです。

こ〜〜んな形や↓↓      そ〜〜んな形↓↓ もデザインしてみましたよ。*適当

もうお分かりですね。主にヘッドの先端しか自由にできる箇所がありません。先端を伸ばしてみたり縮めてみたり、ハンマーヘッドのようにしてみたり・・・・Ovationはこんなデザインですね。

 


 

文章が多かったり、数字・計算が出てくると眠くなりません?

 

休憩

 

前回の修理記事「No.069」で、塗装の事について詳しく紹介しましたが
ステイン(染料)もステュMacで販売しているものを使っています。

 

ここ数年、注文していなかったので2017年のカタログが手元にある最新のものでした。

久々に注文しなければいけない物があり、他に何か足りないものはないかとチェックしていたら・・・・・
思い出した!染料で足りないカラーがあった・・・・・

  

紙カタログ/印刷物だと↑↑染料は全10カラー。。。。。

 

注文しようと、ウェブサイトのほうをチェックしてみると、な、な、な〜〜んと!

全22色に増えているではないか!?

1本$24.48はちょいとお高いような気がするけれど・・・・(新色を)12本買うと合計$293.76

買っちゃいました。

そして、専用の棚まで作ってみたりして。

今までは10色だったので無造作に置いてあったんですが、22色ともなると使いたい時に
いちいち「え〜と、これ何色?」って探すのが大変なので。

しっかし、毎回思うのだが、欧米の方達の「ネーミング」って洒落てますよね。

Cordovanは革靴からきているようだ。

Bordeauxはその名のとおりボルドーワイン

Coral Reef Blueは南国の綺麗な海でしょ

日本人ならさ、

あずき色   赤ワイン色   青緑色

で、決まりだよね?

 


 

さあ、製図も完成したし、あとは実際に製作していくだけです!

あ、オリジナルの楽器をゼロから創造し製作しようとする場合、平面図のほかに側面図も必要なのであしからず。使用するブリッジやアーチトップなどの場合は弦も描いて、ネックの厚み、もしくはネック角度なども算出・決定しなければなりません。
ある意味「側面図」こそが非常に重要で、設計を誤ると完成後「ん?ブリッジサドルを限界まで低くしても、まだすごい弦高が高いぞ!?」なんていう失敗に繋がります。今回は元のネックを参考にそれと同じ寸法にすればよいだけなので比較的気が楽です。

 

用意したのはコチラ↓↓ 以前に多弦ベースを製作しようとアイチ木材さんから購入したメイプル材。すでに10年以上寝かしてあります。

ヘッド角度は約10度。Gibsonのレスポールとかは約14〜17度(年代によっても違う)ですから、少し浅い角度です。
たしかOvationも同じくらいの浅い角度。

  

 

製作において基本は、始めに基準となる「一つの平面・基準面」を作り(大抵は指板接着面)、それをもとに、側面を90度にして平らにもする。つまり直角。

材はベース用でかなり大きいため、はじめに不必要な部分はカットします。大きければ大きいほど正確な面を出すのは大変なので。  

この「基準となる面」作りがいい加減だと、その後も「いい加減」の上に→「小いい加減」な面が出来上がり→さらに「中いい加減」な面が出来上がり・・・・最後には「大いい加減」な代物になってしまうので注意。

 

ベルトサンダー↓↓で平面を出します(削ります)。        必ず平面が出ているか確認↓↓
→→

同時に↓↓長手方向も平面・直線か確認。             OKならマル!
→→

 

次は側面↓↓                          まだ少し甘いかな?それとも写真だから?
→→

同じくこちらも直線が出ているか確認→

 

お次はヘッド表面!


正確に削れていれば、このように直角定規を当てると角度が付いている部分は90度になるはずです。

 

準備完了!

 

次のページではこの下準備ができた材に、新ネックの寸法を鉛筆で書いていきます。

2020.8.1. ----2ページ目-----     PAGE 1 2 3 4 5 6 7

<<< REPAIRページ(修理記事一覧)へ戻る