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相も変わらず休日は映画三昧で過ごす日々が続いています。先日観たのは邦題「ミニミニ大作戦」/原題「THE ITALIAN JOB」。この映画が出た当時「邦題」がパッと目に入り「あぁ、B級かコメディタッチの映画か・・・」と思い出演している俳優も今まで気にしてませんでした。

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が!なにげなく俳優陣を見たら マーク・ウォールバーグにシャーリーズ・セロン、エドワード ノートンはいるわ、セス・グリーンにジェイソン・ステイサムまで!おまけにドナルドサザーランド
(ジャック・バウアーが年老いたらこんな感じ??(笑)似てますね。ま、親子ですから)

 

 


 

さてさて、当方でもネック折れは一番多い修理のひとつですが今まで撮っておいた様々な「折れ方」をご紹介します。物によってはかなり「ぶっとんでる」ケースもありなかなか面白い画像が集まりました。

 

まずはGibson L-5です。もうかなり前に行った修理なので詳細を覚えていないのですが、剥がれた部分を見るかぎりトラスロッドナット部が近いためストレートの補強材を埋めたと思います。

 


 

Gibsonのレスポールです。なんとボルトでしっかりとめてあります!これで絶対に安心・・・・とはいえず。。。。。
塗装を剥がしてワッシャーやボルト、ナットをほじくり出していくと・・・

 

ボルト2本だけと思いきやおまけに木ネジが1本出てきました。(色の違いはフラッシュなどの影響です。あしからず・・・)


この手の複雑折れに対しては、初めの接着はエポキシ系接着剤を使います。なぜなら折れた直後のケース、もしくはクランプで締め付ければピッタリと割れが合うもの(木と木が密着する)にはタイトボンドなどの接着剤が有効ですが、このように木材の欠損が多かったり密着しない場合はあまり効果がありません。ここでひとつ大切な事を・・・

割れを接着する場合、基本はクランプなどでしっかりと「圧着」する事が大切ですが、エポキシ系接着剤は逆です。エポキシ系接着剤はあまり強く圧着すると溶剤がほとんど流れ出てしまい接着力が弱まります。接着の強さは木材の種類によっても違ってくるでしょう。

 


 

ちょっと接着剤について・・・

上の図は接着剤剥がれの様子ですが、それぞれ専門用語で
*Aは「凝集破壊」/結合力や「木材の凝集力」より「接着剤の凝集力」が小さい場合。
ギターの場合、オールドなど年月が経ったものは接着剤自体も劣化しているのでこのようなケースが多く観察できます。

*Bは「界面破壊」/結合力が接着剤・被着材の凝集力より小さい場合。
かんたんに言えば木材の接着面に油分が残っていたりするとこうなる場合が多い。接着する前には必ずアルコールやアセトンなどで油分を落としましょう。また、折れてから日が経てば経つほど汚れや水分などが割れ部に入り接着不良をおこす要因となります。

*Cは「材料破壊」/接着は十分にある。
「接着剤の凝集力」や「界面の結合力」は十分強い。木材の強さが負けたためこのような破断がおこる。

一度ネック折れを修復して、再び折れたケースではほとんど「C」の材料破壊がおきます。理由は接着した部分のほうが「木材」より強いからです(少なくとも数年内であれば)。もしこれがAやBであれば修理の過程・方法に問題があったとも推測できます(実際にはA~Cのケースが複合しておきます)。ただし年月が経てば接着剤自体も劣化しますし木材によっては内部から油分が出てくる事、使用する環境によっても劣化の具合は違うので一概に決めつける事はできません。
ネックが折れた時は、ご自身では「何もせず」可能なかぎり早い時期に修理
する事をおすすめするのはこのような事からです。

*参考:日刊工業新聞社 「被着材からみた接着技術」木質材料編 より。

 


 

お次もGibsonのレスポールです。これは「折れた」というよりは両方から引っ張ったら「もげた」と言ったほうが適してる気がします。

このような「完全に」木口断裂と言っていいような場合はまずタイトボンド等の接着剤は効きません。エポキシを使います。

可能なかぎり隙間なく合うように手直しをしつつ、上の画像のように工夫して固定します。

下画像はストレートの補強材をいれるべく溝掘りをしたところです。割れた断面を見るとかなりの隙間、木同士がくっついていない事がわかります。事前にトラスロッドの調整穴、ヘッド表側のザグリ部分の位置を計測してサインペンなどで描いておくと便利です。


補強材の出っ張りを綺麗に成形し、*もして、塗装をして完成です。

あと2つあるので2ページ目で・・・

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