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いよいよ最後のページになりそうです!ここまで長かったですが、気を抜かずに書き上げます。

前ページで指板面は完璧になりました。次はネックの"握り部分"の塗装を剥がしたり、バインディングとの段差を無くしたり、といった作業に入ります。せっかく仕上げた指板面をキズつけないようマスキング。

 

当て木を使って、わずかに出っぱっているバインディングをネック材・握り部分へかけてなめらかになるよう研磨します。

  

ボディ部もキズがつかないようマスキング。。。。なにはともあれマスキング。いつも口をすっぱくするほど言っているマスキング。

 

ボディとネック、塗装を剥ぐ・剥がない、の境目は↓矢印のところで縁をきりました。

 

ヘッド裏側も塗装を剥がします。↓↓このシールは残念ながら無くなります。
  

 

ヘッド裏側のシリアルナンバーは、ヘッド裏の突き板に"刻印"されている仕様でした。
  
画像では↑分からないですが、よく観察するとわずかに刻印の凹みが確認できたので、このまま塗装をすればその凹み部分がもっと露わになるだろう、とここでは推測していた。

 

ここまできてようやくフレット打ちです。端だけ大まかに仕上げておき、塗装後に擦り合わせや成形・仕上げをします。

 

ナットは牛骨の無漂白↓↓                    マスキング↓↓もして塗装に入る直前です
  

 


 

母艦を「スーパー・スター・デストロイヤー」に・・・

 

時は2017年6月6日・・・・

ウフフ、この日はなんの日か分かります? そうAppleのイベントWWDC!

 

前から噂のあったとおり、MacBook、MacBookProはCPUがアップグレードしました。
お〜これは買いだ〜と思ったら・・・・予想外だったものも発表!

そう、iMacも発表があったのです!!
てっきりNew iMacは今年の秋〜年末あたりだと思ってましたがまさかの発表。さらに驚いた事に「iMac Pro」なるものまで・・・

 

ポチりました・・・・

27インチiMac Retina 5Kディスプレイモデル
4.2GHzクアッドコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大4.5GHz )
32GB 2,400MHz DDR4  1TB Fusion Drive  Radeon Pro 575(4GBビデオメモリ搭載)

 

カスタマイズでCPUをCore i5→i7へアップグレードしたり、ちょっとやりすぎ・盛りすぎかな、と思いつつも、正解だった。

今までは、5分の(HDサイズ)動画書き出し時間が「約50分」かかっていた。

New iMacでは「約1分45秒」で書き出し完了!!!
Core i5 と i7の差は通常作業ではほとんど無いらしいが、こういった書き出し作業の時は1.4倍くらい差が出るみたいです。

  
移行アシスタントは使わず、一つずつ手作業でデータ移行。New iMacが全て問題なく安定して使えるかどうか、しばらくは2台並べて使う事になりそうです。近いうちに4Kディスプレイを買い、デュアルモニター環境にする予定。。。

 

SW艦隊とMac機種を比較すると・・・

↑こんな感じ?↓

iMac ProやMac ProになるとCPUがマルチコアになりますよね。8〜18コアってなんだよ!?
単純計算で105秒の書き出し時間が20秒くらいに縮まったりするのかな?

やっぱりProと名のつくモデルはそれを必要とする「プロ」の方用ですね。


この記事に使う(埋め込む)動画もNew iMacで行いました。8年前の機種と比べてはいけないが、もう「天国」そのもの。
素材の読み込みもあっという間だし、倍速設定しても瞬時に処理されるので編集時にカクカクしない。 3年ほど前に「そろそろ買い替えどきかな」なんて言っていたが、よくここまで頑張ってくれた!相棒の2009 iMac24" くん。

 


 

さて、ここからはすでに塗装の最中の画像です。

ちょうどサンディングシーラーを吹き終えた状態。

  

マスキングも一工夫してあるのが分かりますか?↑↑       こちらは↑↑突き板からの延長線、黒色を塗るためのマスキング

 

さて、ここで一つ、私の予想違いと言いますか、失敗してしまった事がありました。それはシリアルナンバーが消えてしまったこと。

当初は、刻印タイプなので塗装をしていけばうっすらと浮き出る・残るだろうと思ってましたが、見事完全に塗装に埋もれてしまい、私の中では「大がかりな修理だし消えても仕方がないか・・・」と軽く考えていました。

ところが、オーナー様にとってはかなりショックだったようで(そりゃそうですね・・・反省)
どうにか復活させられないかと策を練り、魔法を使って復活させました。


この部分だけいったんサンディングシーラーを剥がしてゼロに。

突き板の素材はよくあるペーパー繊維のようなやつ。刻印の凹みに溜まっている塗料を溶かせば、凹みが再び現れるのでアセトンで溶かしました。

シリアルナンバーや、その他ちょっとしたデカールなど、お預かりする時に「消えてしまいますがいいですか?」と確認すると、気にしない人は全く気にしないので「全然かまいませんよ〜」と了承していただく事も多々ある。毎回おなじような事が続くと、だんだん「消える」という事柄に対して私自身の"感覚"が鈍くなってきているのでしょう・・・・反省です。

 

気を取り直して、今一度サンディングシーラーを吹き重ね、もう一度↓↓この部分のマスキングをして黒色を塗り直しました。

→→

 

←トップコートも吹き終わり、乾燥させたあと水研ぎ→バフィングへ

 


 

無事完成しました!

 

ポジションマーク、指板ともに綺麗に。              P.Uと弦の距離・クリアランスも十分に。
  

 

トラスロッド部分には念のため↓このように注意書きしておきました。3.0mmのミリ規格レンチでも回せてしまうため舐めてしまう事が多いんですよね・・・・
  

 

↓シリアルも無事復活

  

 

  

 

最終的に、ピックガード部分へ取り付けるポット類はこのように変更。トラスロッドカバーも弦とのクリアランスに余裕ができました。

  
↑↑Voは元のポット位置に戻し、トーンは電子パーツ屋さんから基板などに使う?ミニポットを入手してこのように固定させました。

 

長年のお役を御免となった者達。。。

 

後日談ですが・・・・
このギターの修理が完成してから早4〜5ヶ月経とうとしています。オーナー様から1ヶ月ごとに状態のご報告メールをいただいており、すごく安定しているとの報告を受けています。

メール内容をそのまま載せる事はできないので、かいつまんで紹介しますと
返却直後〜1ヶ月後
「今まではフェラーリのようだった、高性能だけどじゃじゃ馬で扱いにくいという意味」。修理後は 「ジャガーに乗っているような」に変わったそうです(笑)

2ヶ月後
サウンドに関しては、私も予想はしていましたが、前は枯れた感じの倍音成分ありで、ハウリングで暴れるような事もあったとか。それが現在は落ち着いたサウンド、言い方を悪くすればちょっと薄っぺらい音に変化したとおっしゃってました。
おそらく、今までネック全体がガタがきていたのを、今回の修理でキチッとしっかりと改善された事で、音の輪郭がまとまったのだと思います。今までも同じようなご意見をいただいています。

3ヶ月後
毎日弾き込む事でだいぶ馴染んできてサウンドも良い方向に変化してきたようで、全体的にサウンドが大きくなり、ネックへ伝わる振動も増えたように感じるとか。

5ヶ月後
ネックの状態は全く変化なく安定しているとの事。

とまあ、こんな感じで1ヶ月ごとにメールをいただいているので、こちらとしてもその後の変化を知る為にもすごく助かっています。 ギターの「音色の好み」って人によって様々ですよね。例えば「ジャキジャキ」したサウンドが良い人、まる〜く落ち着いたような角がたってないサウンドが良い人、テレキャスのようなキャラキャラしたサウンドが良い人。

好みによって「良いサウンド」の定義は変わってきます。

 

え?私の好み?


こんな感じかな〜。

 

おつかれさまでした!

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