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2017年 元旦
あけましておめでとうございます

昨年9月以降 新しい記事をアップしていませんでした・・・・言い訳になりませんが、大がかりな修理依頼が複数本ありモ〜レツに忙しい日々でした。いまだ"それらの修理品"は年をまたいで継続中ですが、そんなこんなで毎年恒例の年明け1発目はかる〜くいかせて下さい、サクッとね。2本立てです。前半は・・・・

S,ヤイリのアコギへRolandのギターシンセ用デバイス「GK-3」を取り付けてしまったお話し。

完成したギターにBOSSのGP-10を繋ぎ、ニコニコ顔で楽しんでいるのは、ギタリストの内藤悟志 氏。なんだかいつも内藤さんの依頼はビックリする内容が多い気がする・・・・

最初にこの依頼内容を聞いた時は「アコギにシンセデバイスを・・・え?マジ?」と思いました。穴も開けなきゃいけないですし見た目がね〜・・・でもご本人がやりたいというのであればどんな突飛な依頼でもまずは実現可能か真剣に検討しないとね。

  

デバイスを取り付けるのに配線を目立たなくするにはどうしてもトップ板へ穴を開けないとなりません。内藤さんからは「もうこのギターはシンセ用と割り切っているからどんな事してもいいよ」と言うので「そんじゃま開けちゃおか」とズドン!↓

  

GK-3のピックアップ部分からの配線の先端には↑↑このようにコネクタが取り付けてあります。コネクタが入る大きさの「穴」だとかなり大きくしないといけませんので、いったん各線をコネクタから取り外しました。こうすれば小さい穴で済みます。

 

*あ、このGK-3は「GK-KIT-GT3」というやつです。
←コレね

 

 

ひとまずデバイスを位置させてみて問題がないかチェック。取付はまだしません。  

 

 

さて、お次はGK-3の「出口」アウトプット部分の問題です。取説には直径何ミリの穴を開けなさいとありますが、かなりデカイ穴を開ける事になります。下の画像ではもう開いてますが、ハンドドリルのチャック能力は10.0mmまで「う〜ん困った・・・」。開けたい大きさは17〜18mm、当然ドリルのシャンク(チャックにつかまれる部分)は10mm以上。

そこでこんなん買いました。

思い返せばなんで今まで持っていなかったんだろう・・・・持ってて当然と言えば当然なんだけどな、ま、いいや
そうだ!10mm以上の太いドリルを"ハンドドリル"で使うために、特注加工とかしてくれる刃物屋さんで、シャンク部分だけ細く加工してもらった事があったっけ・・・記憶が曖昧だが。
かれこれ20年ほど前の話しなので、当時は今みたいにネットで調べればなんでも情報を得られる時代じゃなかったですからね。


なんか厳つい。コイツをセットすればモンスターに与えるダメージが増えそうだ。
ゆっくりと慎重に開ければ綺麗に開きます。

 

はじめはテイルブロックに開けようと考えたんですが、GK-3のアウトプット部分は基盤と一体型になっているので不可能。そこでローズの薄板を作り接着↓↓この位置に。 穴を開ける時は内側に「当て木」を押しつけながら↓↓開ける。

  

違うギターで再現シーンを撮ってみたがこんな感じだ↓

サウンドホールから、ボディ内部に肘まで腕を突っ込まないとダメなので、アコギのリペアマンは二の腕が細くないと務まらない。
筋肉モリモリの人はまずは左右どちらかの腕を細くする事からはじめよう。。。。

 

 

腕を細くするだって? な〜に、簡単な事だ。毎日ゲーム漬けになって廃人になればいい。
1ヶ月もすれば貧弱な身体になっているだろう。
 

とうとう買ってしまったPS4。いや、ほらね、嫁さん(FF派)がど〜してもFF15がやりたいって言うもんだから。クリスマスプレゼントとしてね。
じ、じぶん(DQ派)は別にどうでもよかったんだけど、まあ今年はPS4でドラクエも発売されるしいいタイミングでしょう。
PS4 "Pro"を買ったのは当然「VR」も視野にいれての事。

 

え?毎日座りっぱなしで運動もせずゲームばっかりしてたらブクブク太って"二の腕"が太くなるだろって?

そ、そうね・・・

 

 

 

さて、綺麗に開いた穴は、フチを面取りしましょう。そのままだと塗装がチップしたりしますからね。

→→

  
アウトプット部はこんなふうに基板と一体↑↑になっています。 実際に取り付けるとこんな感じ↑↑

 

最後にデバイスの取付だ。

ギターシンセ用のピックアップは今まで何度となく取り付けた事があるが、注意する点は弦との距離。専用のゲージが付属してくるが確か1.0mm以下?かなりギリギリまで弦に近づける必要がある、全弦ともだ。個々のギターの指板アール、つまりブリッジ側のアールも気をつけないといけない。デバイスピックアップのアールも同じに調整しないとどこかの弦だけ距離が離れてしまう。

←本来は左右にネジを取り付けて、スプリングを挟む事で高さを微調整できるように設置するのだが、これ以上余計な穴は開けたくないのでエボニーの木片を作り、高さを微調整して両面テープで貼り付けた。
*たしか6弦側のネジ穴位置がXブレイシングに干渉するからという理由もあったような・・・

  

これで完成!デバイスの高さは固定なので、当然ながらこのアコギは(簡単には)弦高を変える事はできなくなりました。ですのでこの方法で取り付ける場合は始めにお客様とよく相談して「弦高」を決定してから作業しないといけません。

 

アンプから出てくる音はシンセ! アコギのほうへ耳を傾けると"アコギの音" 「こりゃ楽しいわ!」とはしゃぐ内藤さん。
なんとも不思議な感覚になる、去年の6月頃の出来事でした。

*補足
アコギ弦はブロンズですが、芯線はスティールなので、正常に音は拾われてました。

 


 

休憩

去年はどの山に登ったっけ? 思い返してみようかな・・・

丹沢山、両神山、甲武信ヶ岳、八ヶ岳(赤岳)、愛鷹山、草津白根山、涸沢カール、甲斐駒ヶ岳&仙丈ヶ岳、乾徳山、妙義山、天城山

ほうほう、けっこう行ってるじゃありませんか。なかでも面白かったのが「妙義山」11月に入ると3000M級の高いお山の山頂はもう雪。雪山登山は死んじゃいそうで怖いからやらない。ほんじゃま低山で面白い所ないかな〜と思い当たったのがコレ。

かねてから行きたかった岩場・クサリ場オンリーのような山。
私と嫁、もう二人とも普通の山じゃ満足しない身体になってしまい"妙な汗"が出たり「あ、ここで脚すべらせたら簡単に逝けるな・・・」とか、アドレナリン噴出する場所を欲している。

登山道の入口にある妙義山のマップだが、今回は右側の白雲山(相馬岳)を目指す。地図の上側ルートはみな「危・危・危・危・」の表記。ここは上級者コースですよ〜という意味だがこれを見ただけでもワクワクしてくる。

実際にこのルートを通ってみるとアスレチックのようでホントに楽しい!垂直に近い3〜40Mを超えるような なが〜〜〜い崖をクサリを使いながら降りたり登ったり。稜線上の狭い登山道は左右がほぼ垂直の崖で切れ落ちている。どちらに脚を踏み外しても一瞬で終わりだ。

    

良い子の皆さんは真似しないように。

 


 

後半はヤマハのRS420というエレキギター。エルボー加工のお話し。

ご覧のとおりこのギターはトップ面にバインディングが施されているためエルボー加工がされていません。バインディングがしてあってもエルボー加工になっているタイプもありますけど。


シール部分↑はお客様がご自身で「ココ!」と位置決めしたところ

 

こんな感じでギターをかまえるとちょうど腕の部分が"角"に当たってしまい痛いそうです。


たしかに、私もかなり"角っこ"が気になりました。

 

お預かりした時にお客様と入念に位置決めなどして、マスキングテープで大まかなイメージを作ります。

  

さてここでふと気づいた方もいるはず。そうです、このギターはバインディングが施してあります。しかもトップ材とバック材の構成です。エルボー加工で削るのはいいのですが当然ながらバインディングも無くなりますしトップとバック材の境目・分かれ目も出来てしまいます。

最初にメールで問合せいただいた時に「本当にいいんですか?」とよく検討していただきましたが、オーナー様は最終的な見た目が変わってもOK、承知のうえでという事で、今回はこれらの問題は全く無視して作業を進めます。因みに塗装もせず、削りっぱなしで完成とさせます。

 

どうやって削る?カンナ?

いえいえ、カンナではやりません。バインディングがある場合、むやみにカンナをかけると刃が引っかかり最悪の場合バインディングが「ベリッ」と剥がれる事があります。カンナがけする方向を気をつければ大丈夫な事もありますが。それからカンナだと塗装もバキバキと割ってしまう危険性があります。とくにポリ塗装や厚い塗装の場合は。

という事でベルトサンダーで削ります→

 

百聞は一見にしかず、動画をどうぞ。

 

 

動画を編集していてなかなか削れなかったのを思い出しました。ベルトサンダーのペーパーがけっこう摩耗していたんですね・・・逆に新品のペーパーだとすぐに削れていってしまうのでさじ加減を間違うと「削りすぎ」なんて事にも。

←9割方、ベルトサンダーで成形します。

 

あとは手作業で整えます。マスキングはしっかり行い、キズなどが付かないように。

  
サンドペーパーは(私の場合)#150からはじめ、#240→#360→#600で完成。

 

完成!

とくに塗装部分、端っこは慎重に行わないと(今回は塗装をしないので)ペーパーがけの痕が目立ち見栄えが悪くなるので要注意です。

 

実際にギターをかまえてみると"当たり"が無くなり非常に快適です。

  

何かオイル、ワックスを塗ってもいいのですが、もし近い将来「塗装したいな」と気が変わった場合、オイル&ワックスを塗ると、その上から塗装した場合、塗料を弾いてしまいよろしくありません。ですのでここで完成!

*後日談

→→

お客様がギターを引き取りに来て数日後、メールをいただき「オイルフィニッシュにした」との事。画像はお客様から頂いたものですが、ホームセンターなどで売られている木材用ワックスで色味は「チーク」をチョイスしたそうです。数回塗り重ねていってこの色合いになったそうですが、白木の状態よりすごく良いですね!このギターのチェリーレッドによく合っているという感じです。

 

たぶん若い頃の私でしたら塗装もせずに、こんな削りっぱなしで見た目もこうなると始めから分かっている依頼なんか受けなかったでしょう。前半で紹介したギターシンセ用デバイスGK-3もそうですが、オーナーさんが「やりたい!」「このようにしたい!」というのであれば、まずは真剣に受け止めて「はたして技術的に可能か否か?デメリットなどは?」と、じっくり検討して対応するのが技術屋・職人としての姿勢ではないでしょうか・・・。

 


 

最後にお知らせです。
StabilizedWoodのWEBショップを立ち上げてからはや1年が過ぎ、全国各地からご注文をいただいており感謝御礼でございます。当初は存在すら知らなかった とあるモノによく使われるので、それらのフタと本体用のサイズもご用意しました。薄板も現在せっせと製造中ですので商品追加までいましばらくお待ち下さい。

  

 

それでは!今年もよろしくお願い申し上げます!

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