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今回のお題は「Collings A.GをD45装飾化」!!

年に1〜2度はあった問合せ「パーフリング部分へ貝を埋め込む・縁取り装飾できないか?」という問いに、都度 技術的な面からの説明をして、非常に現実的ではないお見積もりになってしまう事を伝え、丁重にお断り(?)してきましたが、とうとう「それでもやる!!」という方がいらしたので・・・・・・・・「御意に」

物はコリングスのD-3、トップはアディロンダックスプルース、サイド&バックはハカランダ(しかも"ド"柾目)の最高級品です。お値段のほうも中古ですが余裕の100万超えだそうです。そして肝心のサウンドですが・・・・・・

鳴る!!!! 激鳴り!!!!

  

ワタクシ、滅多に「激鳴り」とか「めちゃくちゃ鳴ってます」とか、こういった表現はあまり使わないのですが、このアコギは「ジャ〜ン」と1回コードをかき鳴らしただけでその凄さが分かるほど鳴ります。なので言わせてください・・・・本当に鳴ります、さすがコリングス。

アコギの場合は3〜40年経った物だと「おお、鳴ってますね〜」と、近年に製作された若いギターとは一線を画すサウンドなのだが、それを優に上回るほどの「感動」を受ける逸品です。

 


 

おっと、あまりこのギターの褒め言葉を並べていても先に進まないですね。

そんなすごいギターなんですけど装飾を施します。最初は「本当にやるんですか?」と何度も聞きましたが、私の心の中では「やってみたい!」という気持ちがどんどん増してきました。今まで部分的にはやった事があり、またアコギの「製作」ではこういった装飾の経験がありますが、一度完成されたアコギをバラして装飾するのは今回が初めて、職人としてものすごくワクワク感があります。

ではまずは各画像からご紹介。

  

いたってオーソドックスなパーフリング&バインディングです。マーチンと違い、バインディングの素材が縞模様を使っていますね。

  

はぁ〜、、、、これをいったんバラバラにするのかぁ〜と、先の事を考えると少し考え込んでしまうのですが、コイツのサウンドに見合う豪華絢爛の仕様になると思うと今から完成が待ち遠しい。

 

コリングスはご存じのとおりネックはボルトジョイントです。ボディの上に乗る指板部分は接着されています。

←木のフタをパコッと外してみた。

この部分の指板は接着されています→

 

たまたま別の修理品でマーチンのD-45を預かったので、いろいろな箇所をデジカメに撮っておきました。勿論、ノギスで正確に各部分の寸法をチェック。こうして改めて調べてみると綺麗に作られてます。

 

いきなりネックは外しません。ネックを外す前にピックガードとブリッジを剥がさないとならない。なぜかって?先にネックを外すとクランプに固定できなくなるから・・・。アコギの"ボディだけになった状態"をしっかり固定するのは困難なので。

  

↑パレットナイフを使いゆっくりと朔を剥がしていきます。この時に私が使うのはレモンオイル。

これね。フェルナンデスのレモンオイル →

なぜか昔からこれがお気に入りです。ラッカー塗装に使っても影響ない。ピックガード剥がしの時はコイツをドバドバとこれでもかぐらいの量垂らします。すると朔が少し柔らかく、というか剥げる・溶けるんですね(実際に文字通り"溶けて"いるのかは知らん)。長年使ってきてこのレモンオイルの影響で塗装面がどうにかなったという事は無く、安心して使えます。

  

剥がした後はご覧の通り↑ボディ&ピックガードともに朔が残っています。次にティッシュを使いながら付着した朔を綺麗に拭き取っていきます。この時もドバドバと大量にレモンオイルをかけます。サラダのドレッシングのようにね。

*余談ですが、ラッカー塗装の場合、長年の手垢などの汚れが厚く付着していたり、元々の塗装が軟化・劣化していたりすると、どのようなポリッシュ剤を使っても白く濁ったように拭き取り痕が付く事があります。

最初は拭いても拭いても朔がベタ〜っと伸びてしまい、なかなか拭き取れないのだが、コツが分かってくると意外と簡単。ピックガードのほうは"ピック"やパレットナイフなども併用して朔を剥がす(こそぎ落とす)時もあります。


はい、ピカピカに。。。。ピックガード部分が日焼けしていなくうっすらと形が分かりますね。

剥がしたオリジナルのピックガードは再利用できるレベルでしたので、両面テープを貼り完成後に再度貼ります。

 


 

今回は長丁場です。急いでも良いことはないので休憩しましょ。

 

だんだんと公開が近づいてきましたね、スターウォーズ・エピソード7

このトレーラーを観た時はゾクゾクっと鳥肌が立ちましたよ。

 

エピソード1〜3が公開されたのはいつでしたっけ?1999〜2005年だそうだ。
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2002年には感極まってこんなインレイも作ったなあ。

 

あれからもう13年ですよ。Ep4〜6はそれこそ何回観たか分からないほど繰り返し観ているが、ここ最近はご無沙汰。公開を前にもう一度観ておこうと、先日久々に棚からDVDを引っ張り出してプレーヤーにセットしたらなんとエラー!!何度やっても読み込み不可!
カセットビデオで持っていたやつを、コピーキャンセラーを使ってHDDプレーヤーにコピーし、DVDに焼いたからかな〜・・・・

 

そんな事で即購入!DVD BOX

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嫁には事後報告・・・・
その晩は(どちらかというと)ダークサイドのフォース攻撃を嫁から受ける、無言の戦いが繰り広げられた。

 


 

フォースは精神力だ!修理も精神力だ!
ピックガードを剥がしたら、次にブリッジ剥がしです。最終的にボディ全体を再塗装するのでブリッジは剥がさないとならない。アコギの場合、ブリッジは塗装完成後に(接着面の塗装だけを剥がして)接着します。

←ヒーターをあてがい、何度かトライするがいっこうにパレットナイフが入っていく感触が得られない。。。。でも慌てず騒がず、ここで無理矢理 力任せで挿し込むとトップ板にダメージを与えるので絶対に無理は禁物。作業前に予想はしていましたので>>>プランBに変更。

 

←製作されてからまだ間もない楽器は、いくら熱をかけても接着剤が強固なため剥がす事が不可能か非常に困難な事が多いのが現実。ブリッジ剥がれ&隙間修理の時はすでに接着剤が弱くなり剥がれかけているからこそ熱で比較的簡単に剥がす事が可能です。ブリッジ修理の記事でも書いたと思うが、私の場合「剥がれ面積・隙間」が少ない時は、そのまま使い続けていただき、ある程度の面積が剥がれてきたら再度修理を依頼していただくようにお願いしています。

さて、ではプランBに変更。どうするのか?・・・
ブリッジを削りとってしまいます。

「ま、まじ?!」と思われるかもしれないが、そのマジです。動画をどうぞ。

>>ブリッジの除去<<

滅多にありませんが、予想していたより接着剤が軟化せず、熱による剥がしが困難な時などは作業途中で判断し、削り取りへ変更する事もあります。ただし、本当に滅多にないですよ、だって大抵の場合、すでに隙間ができている状態(ようは接着剤が弱くなっている・剥がれかけている)で作業を行うので。

削り取る前にしっかり寸法や形などを記録に残しておきます。あとで同じ物を作らないとなりませんから。

  
↑トリマーでギリギリまで削り取ります。

 

あとはノミを使い慎重に削っていきます。スプルース材まで削ったり、ダメージをあたえないように気をつけながら。

  

←おなじみの接着時ズレ防止用のポッチ。2ヶ所付いてました。

 

とりあえず↓このくらいまで削れたら終了。

残りは、塗装を剥がす工程でペーパーで削り、綺麗にします。

ここでひとつ分かったのですが、塗装厚が非常に薄く仕上がっており、また接着面を見てみると"端"まで綺麗に接着されている事が分かります。コリングス、技術的に素晴らしいです!
ちなみにこの段階で塗装がラッカーかポリかをチェックしておきましたが当然ながらラッカーでした(*注:7ページ目参照)。

*マーチンやGibsonなど多くは塗装の剥がし範囲がブリッジ形よりかなり狭く、結果として接着面積が少ないのが現実です。
詳しくはコチラ→http://www.zinguitars.com/REPAIR_item/Bridge_Removal/Bridge_Removal002.html

 

 

さあ、あと一つ取り除いておかないとならない箇所が・・・

そう、エンドピンです。

  

内部からチェックしてみたら「ああ、、、、接着剤でガッチガチになってるのね〜・・・・」↑↑

これはもう仕方ありません。

  

とりあえずダメもとでペンチを使いひねる、が当然無理。先端がポキッと取れたところでドリル攻撃。

  

その後は千枚通しやマイナスドライバーなどで少しずつパキパキと木片を剥がしていきます。↑ようやく取れた

考えてみたらまだまだ外すものがあった。
次ページではフレット抜きとボディに接着されている指板を剥がします。

 

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