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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

リペアの紹介もずいぶんと増え、はて?なにか紹介していないケースはあったっけかな?と。

そういえばブリッジ剥がれの修理は今まで載せた記憶が無い。じゃ、紹介しましょう。YAMAHAのギターです。

典型的なブリッジ接着剥がれです。このギターの場合はあからさまに隙間が確認できますが、一見して隙間が無いように見えてもパレットナイフ(ペンチングナイフ)を挿し込んでみると「あれ?あれれれ?」と奥まで入っていくケースなど様々。

  

使用する武器はコレ↓ラバーヒーターです。このラバーヒーターはその昔LMI(Luthiers Mercantile International)から購入したものだが今も売っているのかは不明。なんせ十数年前の話なので。「ラバーヒーター」で調べたら日本でも製品としてありますね・・・・・

  

←なるべく密着するように適当な重しを乗せます。

コーヒーでもすすりながら約10~15分ほど待ちます・・・・

頃合いを見計らってブリッジリムーブスクレイパー?だっけかな?で隙間から慎重に剥がしていきます。そこらのホームセンターで売られている塗装用のリムーバー?スクレイパー?でもよいが、厚みには注意。

 
(私の場合)この段階でのマスキングはアバウト↑↑           ピン穴からスクレイパーが見えてますね↑↑

ここで焦ると失敗します。少し挿し込んでまだかなり抵抗があるようなら接着剤が軟化していない証拠。無理して剥がそうとせず再び5分~10分ヒーターをかけて接着剤が軟化するのを待ちます。

そしてまた待つ・・・・こんな感じでね。

時には二刀流で、時には小さく薄いパレットナイフで、すこ~しずつね。
  

大抵はブリッジピン穴部分まではほぼ剥がれていて、それよりネック側は接着されている事が多いです。↓こんな感じ

はいこれで完全に剥がれました。
 
簡単そうですが、慣れないとトップ板、木材部をかなり剥がしてしまったり大変な事になります。ちなみにこの作業は本当にゆっくりゆっくりが大切。今回のケースでは「温めては剥がし、また数分温めては剥がし」の繰り返しなので約1時間弱かかったかな?

勿論、ものの数分で一瞬にして剥がれてしまうケースもあります。というよりろくに熱をかけて無いのにパレットナイフだけでパリパリと剥がれる物も。はじめの状態でいかに大部分が剥がれているか、またオールドなど年月が経ったものは剥がしやすいです。対照的にまだ数年しか経っていない新しいギターは非常に剥がしにくくやっかいです。
*今まで数える程ですが、非常に強固に接着されていて、いくら熱をかけてもパレットナイフが入っていかないケースがありました。その場合は潔くあきらめ、作業途中ではありますがお客様へ承諾をとったあと、ブリッジ自体をトリマー・ルーターで完全に削りとってしまう事もあります。


お次は接着面の修正です。

いかに熱をかけうまく剥がしても、大抵はトップ面のスプルース材も少しだけ一緒に剥がれます。今まで何十本となくやってきましたが、スプルース材がほとんど剥がれず綺麗に剥がれたケースは割合で言うと半々ですかね・・・・。

 
剥がす段階で多少"持っていかれた"スプルース材の場所は当然ながら凹んでます。気持ちも凹みますがそこは気を取り直し次へ・・
上画像のように(私の場合は)アロンにて「ささくれ」や「凹み」部分を盛って・浸透させていきます。硬化には一晩かかります。時間を短縮しようと「アロン硬化剤」などを使うと場合によって白く泡立つので↓硬化剤は使わないほうがよい。。

 

 

アコギのブリッジは「塗装」されているものがあります。とくにYAMAHAのアコギはブリッジを塗装されている事が多いですが、たいていはローズウッド材のブリッジを「黒く見せるため」に黒く塗装され、いわゆる「なんちゃってエボニー」仕様のことが多い。
上の画像は熱の影響で塗装が白くなってますが、ブリッジを剥がすには熱を加えるのでやむを得ないです。お客様へは事前に説明し、「おそらく剥がすとローズだろうから、黒で染めておきますね」と。
ところが今回は剥がしてみて分かったのですが、エボニー材のブリッジでした。

さあ、剥がしたブリッジを見ていきましょう。

定規を当ててみるとフラットでは無い事がわかります。↓コチラの方向も↓このように反ってます。

  

図で表すとこのような感じ・・・↓↓

ボディの膨らみや変化に合わせて、このように曲がっている事がほとんどです。ところで「B」は"なぜ"こうなってしまうのか・・・・

次のページで解説。

 


 

休憩・・・・

年末に愛車プリウス君を念入りに洗車しました。

昨年はいろいろあったな~・・・・・・
↓夏頃に嫁の運転でガリガリっと


修復したのもつかの間、そのまた1ヶ月後に今度は反対側・同じ場所を妹がガリガリ・・・・・たまたま貸してたんですな~
自動車の販売・整備関係の友人のおかげでリーズナブルな価格で修復できたが、そこの職人さんが
「あれ?この車1ヶ月前にも直さなかったっけ?」と笑ってたそうだ。

決して私がキズつけたわけでは無い!運転には自信がある!(やつがいつか事故おこすんだよな~)

まあ、そんなこんなでキズ物になってしまったわけだが、前々から気にしていたガラス系コーティングに手を出してみた。
その名も「スーパーピカピカレイン」

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100%無機質のガラス系コートだそうで、プラ容器ではなくガラス瓶に入っている。ネット情報いわくプラ容器に入っているものは、100%無機質じゃないそうだ。

洗車のあとにピッチやタール・鉄粉などを取り除く「ねんど」も念入りに施して、いざコーティング。


確かにスーパーピカピカというだけあって、今までのイオンコートと比べるとなにかヌメッとしたような質感に。カサカサ肌がしっとりとなったような、色合いが濃くなりました。まるで乾燥しきったローズやエボニー指板にレモンオイルをタップリ塗ってあげたように。
満足、満足。

「3年間ノーワックス」とあるが、まあ1年持てば御の字。

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