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全フレットを打ち終えました。ハンマーと当て木を使ったり、プレスする治具を使ったり、場所によっていろいろ使い分けながらフレットを打ちます。撮り忘れましたが、打った後にネックからはみ出た部分は喰切(くいきり)でカットし、ヤスリで削りバインディングと面一になるようにします。

バインディングの欠損部は、本来の手法で塗装を行うとその周囲がピカピカ・テカテカになってしまいます。このようなオールドの場合、そうした部分はかなり目立つので、今回は予算のかねあいもあり簡易塗装で仕上げました。新しいバインディングの部分だけ露出するようにマスキングし、アンバー着色も含め4~5回ラッカーを塗り重ねただけです。そのためバインディングの新・旧分かれ目はすこしハッキリします。
*本格的に仕上げようとすると赤点線の範囲ほどに手をつけるようになります。

フレットを打ち終えたからといってまだ完成ではありません。角・端の処理や摺り合わせがあります。

  
↑↑指板面にマスキングテープを貼り、専用のヤスリで↑↑角を丸めていきます。


↑↑ヤスリで大まかに丸めたら、次はペーパーで一つ一つ丹念に仕上げます。量産品の楽器と1本物、高級ギターの類とではフレットの端の処理がだいぶ違います。フレット端の処理が綺麗で有名なのは「James Tyler(ジェームス・タイラー)」とかですね。フリーダムさんのギターも素晴らしく綺麗。

角の丸め作業が終わったら「摺り合わせ」をします。平面が完全に出たブロックにペーパーを付けてフレット全体を擦ります。
フレット交換作業の詳細はコチラをご参照ください・・・・・*11~12年前の内容ですが今とほぼ一緒の手順です。

*2016.6月 あらためてフレット交換作業を詳細にアップしました→コチラ

「フレット頂点の揃え」が終わったら↓こんな当て木・スポンジを使ったりして最終的にピカピカになるまで仕上げます。
  ←完成
私の場合、摺り合わせ#1000→磨き#1200→磨きスチールウール→光沢出しフェルナンデス946&クロス

 


 

いよいよ組み込みです。すでにネックとボディは合体させてあります。

 
このギターは弦アースがされていませんでした。テイルピース部分からこのように(赤点線)ドリルの穴が開いてますので(もとから)そこへ1本線を通し弦アースを確保します。P.Uやコントロールパネルを取付・・・・・

 
ナットの溝切り段階です↑

 


 

完成!

ナットはオールドという事もあり牛骨の無漂白で。

ブリッジサドル(木製)はアコギ弦用としてオクターブ位置が設定してあるので、本来ならアコギ弦を張らなければオクターブが合いません。が、お客様ともその事をご相談し合わない事をご了承いただいたうえでエレキ弦を張って仕上げてます。エレキ弦用としてブリッジ頂点を合わせたい場合にはブリッジサドルを作り直すか、頂点部を成形しなければなりません。

3ページにわたってしまいましたがお楽しみいただけたでしょうか。

1953年製(たぶん)の NATIONAL SOLID BODY ELECTRIC SPANISH CUTAWAY No.1124 でした。

 

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